書籍化されました
Ignatia イグネシア(略Ign)イグナチア豆
Ignイグネシアは、急性の悲しみのレメディーである。
・失恋した、失職した、死別したなど、悲しみ。
・悲しみのあとに、起こった疾患。
・のどにヒステリー球がある。
・感情が両極端に揺れる。笑う・泣く、過食・拒食、、、、
Ignの人は、あまりに理想を高くもっているため、現実を飲み込むことができない。
Ignの人は、のどにボールがあるような感覚を持っている。そして、食べ物や飲み物を飲み込むことが困難になるかもしれない。拒食症や過食症に至ることがある。
不安定な10代の若者のように、感情が不安定で揺れ動く。ヒステリーのような症状を起こすかもしれない。顔にチックがでたり、痙攣をおこしたりすることもあります。生理痛がひどいかもしれない。痛い箇所を下にして休むと好転る。
つらいことがあって、悲しいことがあっても泣けなかったり、押し込めてしまうと、悲しみが、その人の一部になってしまいます。常に、なんらしか悲しい。いつも、どこか悲しい。そういう人生になる。
Ignをとると、悲しいことがあった時に戻るのである。そして、号泣することで悲しみを過去のものし、手放すことができる。
悲しみから起こった疾患なら、
・欝であれ、
・摂食障害であれ、
・不眠であれ、
・生理不順であれ、
・痙攣、麻痺であれ
・精神の疾患であれ
・肉体の疾患であれ
Ignが必要になる。
歴史上の人々では、イングランド王ヘンリー8世の2番目の妃、アン・ブーリンに必要だったと思われます。
Sponsored Link
生年月日:性別:女性
職業:イングランド王室女官。後にイングランド王妃。
肉体の特徴:指が6本ある多指症であった。爪に奇形があった。髪と瞳は黒。肌は浅黒く、細身。
病歴:死産の経験あり。
愛される喜び もはや愛されない悲しみ
プロテスタント教会は、高尚な宗教理念や高邁な教義上の理由とは、あまり関係のない理由で成立した。
イングランド在住の各国の大使が、こぞってイングランド王ヘンリー8世が夢中になっている女官がいると報告したのは王が中年に入ったころだ。
女官の名はアンといい、フランス大使を務めたブーリンの娘で、父の相伴にあずかりフランス宮廷で女官として薫育をうけた経験をもつ、キャサリン王妃付の若い女官であった。アンは黒い瞳に、座れるほどに黒い髪を長々とのばした浅黒い肌の細身の女性であった。当時の美人の基準とは、いささか趣を異にしていたので、人々は、たいそう驚いたのだった。
アンはヘンリー8世の欧州随一の名門出身の妻にたいしても、過去に関係をもった、たくさんの美しい愛人たち(この中にはアンの姉もいた)に対しても、たいして誠実でなかったことを知っていたので、ヘンリー王の甘言にのって気安く身をまかせることはなかった。アンは、フランスのフランソワ1世の放恣な宮廷においても身を堅く守り、傷の無い体で宮廷を去った数少ない女性でもあるのだった。
アンは身持ちが固かったが、王妃となって王と並ぶ野心はあったらしい。
王は靡かないアンに夢中になり、王妃と離婚することも考えるようになった。考えるだけでなく実行に移そうとしたのは、アンに懐妊の兆候が見られたのだった。
王と王妃には、たくさんの子が授かったが、成人したのはメアリー王女ただ一人で、王は、後継者が王でなく女王であるのに対して懸念していたし、王の人生における傷のように考えていた。王は、王子がほしかった。庶子の男児はいたものの、中年を迎えたヘンリー王より年上のキャサリン王妃から新たに男児を得ることは難しい以上に不可能であることはわかりきっている。
キャサリン王妃は、ヘンリーの兄、アーサー王太子と結婚するためスペインからイングランドに、はるばる船で輿入れしたのであったが、アーサーが結婚後すぐに亡くなり未亡人になったのだった。
キャサリンの両親は未亡人になった娘を、持参金を返してスペインに送り返してもらうか、弟のヘンリー王子と結婚させるかどちらかにしてほしいとイングランド宮廷に伝えてきた。
結果としてキャサリンは、後継者のヘンリーと結婚した。
ヘンリー王子は年上の美しいスペイン皇女との結婚を強く望み強行したのだった。この結婚は、結婚後にローマ教皇から特別許可が出ている。
ヘンリー王は、結婚後たくさんの子供が生まれては亡くなったこと、王子に恵まれなかったのは、自らがわずらった梅毒のせいでなく、この結婚が兄嫁を娶ったため、神の摂理にあわず呪われていたのでは、と都合よく辻褄を合わせて考えるようになった。
ヘンリー王は、アーサーとキャサリン王妃との結婚が無効でないと主張し、キャサリン王妃との結婚もまた無効であると主張した。
キャサリンが、ハプスブルクの出身だということが難であった。
甥はスペイン皇帝であり、ヨーロッパに膨大な血縁と領地をもつハプスブルク家の影響は、まだ弱小国家であったイングランドは無視できなかった。最悪の場合、戦争に発展することも考えられた。結婚離婚の許可を握るローマ教皇にも影響を発揮する一族でもあったため、ローマ教皇からヘンリー王の我儘に認可がおりる可能性は絶無であった。
ヘンリー王が考え出した策は、ローマ教会と決別し自らが教皇となる国教会の設立であった。イギリス国教教会の誕生である。
ヘンリー王は、このとき、国内の寺院修道院の財産を没収している。
これは別に教理の問題ではなかったかもしれない。当時の教会という所は、銀行よりも金が集まるところだったから、苦しい国の財政のためだったかもしれない。
貞淑で穏やかな名門の王妃をイングランドの民は、お妃様とは呼ばず女王様とよび慕っていたのだった。反感は大きかった。
ひどい騒ぎの中、蟄居先でキャサリン王妃は癌でなくなくなった。
イングランド国民は哀悼し、葬儀には公表されていなかったにもかかわらず、たくさんの人々が集まった。そして皆、当然のようにアンを憎んだ。
素直に喜んだのはヘンリー王である。離婚問題を理由にスペイン艦隊が押し寄せてくることはこれで無くなったのだ。
アンは正式に王と結婚し妃として戴冠したが、パレードに集まった市民は、歓呼をあげるのでなく罵声を浴びせるために群れて集まったのだった。どの階級においても評判は悪かった。祝福するものは絶無であった。
これだけの犠牲をはらったのにも関わらず、月満ちてアンの生んだ子は王女であった。
アン王妃閥の落胆と、王の失望のなかで生をうけた王女はエリザベスと名付けらた。後のエリザベス1世である。
生涯独身を貫き、国家と結婚した大英帝国の事実上の初代皇帝にほかならない。妊婦の精神状態が、胎児に影響をあたえるのは、よくいわれることであるが、アンは没落への不安と恐怖に潰されそうになりながら、妊娠期間を過ごし、そして出産した。エリザベスの人生は、不安、没落、暗殺の恐怖が生涯ついてまわることになる。
王の体面と夢と傷つけたアンは、しだいに疎まれてゆくことになった。
愛人としてはスリリングで好ましかったアンも、妻としては浅はかな煩い女であるように思えてくる。情愛に曇って見えなかったアンの粗が見え始めたのだった。炎のように激しかった愛も、2人が望んでいた結婚という形におさまったとたん、炎が燃え尽きるように儚く冷めてしまった。
王の愛ひとつで王冠を得たアンにとって、それは危険な兆候であった。第2子を懐妊するも流産したアンは、没落は避けられなかった。アンの運は、ついに燃え尽きたのだった。
ヘンリー王は、すでにジェーン・シーモアという女官のことを日夜考えるようになっていた。
ジェーンは温和な常識と良識のある思慮の深い女性で、最初の妻キャサリン王妃に、ある意味でよくにていたかもしれない。そして、王妃になる野心も備えていた。
女官のアンが王妃のキャサリンに取ってかわったように、女官のジェーンが王妃のアンにとってかわろうとしているのだった。スペイン皇女であった糟糠の妻を国を危険にさらしながらも離婚したヘンリーにとって、王が生存を握るイングランド一貴族の娘に過ぎないアンと離婚するなど何でもないことだった。
ヘンリー王はジェーンと結婚するために、アンを粛清する準備をすすめた。
結婚を無効とするために、アンの兄とアンとの近親相姦の姦通罪をでっち上げたのだった。もちろん冤罪であるのはいうまでもない。アンとアンの兄は、逮捕されロンドン塔へ送られた。
ロンドン塔に収まったアンは、けたたましく笑い続けたという。神経質なアンの笑いがロンドン塔中に響くと今度は号泣し涙にくれるのだった。
アンの栄光は1000日をもって終わったのだった。
一方的な裁判によって、斬首が決定すると、アンは落ち着いてヘンリー王に遺書をかいた。姦通罪は無罪であること。今までの恩寵への感謝の意をしめし、最後にエリザベス王女をかわいがってほしいという最後のお願いを、しおらしく、したためたのだった。
ヘンリー王は、最後には、かつての妻にたいするささやかな親切を示した。
フランスからわざわざ腕のよい首切り役人を呼んだのだった。楽に死ねるようにとの最後の恩寵であった。
アンは、
「首切り役人は腕がいいかしら」
ときいたという。
「でも、大丈夫よね。こんなに細いのですもの」
と、首に手をあてて神経質にわらった。
アンは処刑台に登った。
公開処刑であったが、たくさんの人が詰め掛けて見物客で溢れた。特別にこしらえた桟敷は壊れんばかりに軋み揺れた。皮肉なことに王妃としてのパレードよりも人気の面でも熱狂の面でも大盛況であった。
この日、狩にでかけていたヘンリー王は、馬上で大砲の音をきいた。
アンの処刑が終わったという合図であった。
おすすめの処方
頓服で
Ing1M 理想が壊れた悲しみ、
Acon1M 恐怖
処刑前に
1 Bismビスマス1M 避けられない惨事にたいする恐怖
2 Arsアーセニカム!M 不安を手放す、