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レメディーと歴史上の人物|Stromストロモニウム@スフォルツア公
Stramnium ストロモニウム (略Stram)朝鮮朝顔
ストロモニウムは、朝鮮朝顔から作ったレメデイー。
この花は、墓場に群れてさく。
重要なテーマは、身も凍る恐怖、尋常でない暴力、である。
恐怖と暴力を作り出す人のレメディーであり、恐怖を暴力を受ける人のレメディーである。
震災、拷問、戦争、事故、暴力、殺傷、革命、など恐怖をあじわって以来の疾患によく、暗闇をおそれ光を求める。この人たちは、電気をつけないと眠れない。
光を取り込もうとするからであろうか、瞳孔が開きっぱなしになることがある。そのため、目が爛々とかがやくかもしれない。しかし、鏡や水面の光を恐れる特徴がある。
このレメデイーの恐怖とは、拷問や苦役のともなう煉獄の恐怖であり、悪魔や悪霊、カルト的な儀式や猟奇的な事象による恐怖であり、恐怖のレメデイーであるアコナイトよりも、もっと残酷で猟奇的な恐怖によく作用する。イラク戦争で猟奇的な捕虜虐待が問題になった刑務所は実にストロモニウム的である。被害者にぜひのんでほしいのが、このスロトモニウムだ。
急性の熱にもよい。
40度をこえて何日も過ぎ、手足が冷たくなり、暗闇をおそれて母親にしがみつき、叫び声を上げる熱にストロモニウムはよくきく。悪夢をみる人の不眠にもよくきく。
緑色の胃液をはくという基調もある。まるで、なんとかというアメリカのホラー映画のようである。破壊的になり、自分でコントロールがきかなくなることもあるかもしれない。まれに、噛み付くこともある。
・絶え間ない恐怖
・のどが渇き冷水をほしがる
・痙攣をともなう
・一人で悪化
・人がいると好転
・明るさで好転
・暗闇で悪化
なら、高熱であれ、不眠であれ、怒りであれ、恐怖であれ、なんであれ、ストロモニウムが役に立つ。
必要な人は、
・911など極限状態の災害に遭遇した方
・アルグレイブ捕虜虐待の被害者の方
・陰惨な事故を目撃した方
・呪詛の被害者
・猟奇的な事件の加害者・被害者
などである。
ストロモニウムが必要だった人がいる。
イタリアルネッサンス期の大国・ミラーノの君主、マリーア・ガレアッツオ・スフォルツアである。
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マリーア・ガレアッツオ・スフォルツア
性別:男性
職業:ミラーノ大公
生年月日:1444年1月24日
父:フランチェスコ・スフォルツア ミラーノ大公
母:ビアンカ・マリーア・ヴィスコンティ
身体の特徴:爬虫類のような冷たく不気味な眼差し。細く長い指。長身。鼻すじの曲がった鷲鼻。
精神の特徴:強烈な強姦願望、他者への虐待に快楽を見出す残虐性。
その一方で。最高の教養を持ちながら、神には敬虔であった。
教会音楽で好転する。
家系の病歴:ヴィスコンテイ家は中世のマラテスタ家の人々のように、その異常なる残忍さで名高い一族であった。精神異常者が多かった。
スフォルツア家
イタリアルネッサンスを代表する家に、スフォルツア家という名家があった。
ルネッサンス期は、わが国の戦国時代によく似た時代で、野蛮で無秩序ではあったものの、無秩序のもたらす自由を利用して己の器量と運でもって階級を乗り越えのし上がってゆく人々がいた。
代表的な人物に、フランチェスコ・スフォルツアがいる。
このひとは傭兵から君主になった下克上の見本のような人物であった。
もともとは百姓の出身だったという。傭兵の応募に応じ、数多くの武功をたて、君主たちと契約して戦場から戦場へと飛びまわった。勝利が信用となり、信用が金や人を集め、最後にはイタリアの大国ミラーノの大公となった幸運の持ち主である。その子2代目となった大公フランチェスコには、息子が3人いた。
長男がマリーア・ガレオッツオ・スフォルツアである。ほかに、次男がロドリーコは浅黒い肌のもちぬしだったことからイル・モーロ(ムーア人)と称された器量人で、長兄がなくなった後、正規の後継者である甥から大公の座を簒奪した人物である。3男はアスカーニオといい、聖職にすすみ枢機卿となった人物でヴァチカンを中心に国際政治で大いに活躍し、ローマ法王の位を伺ったこともしられている。
マリーア・ガレオッツオ・スフォルツアは1444年に生まれた。
マラテスタがそうであったように、残忍な精神病者としての性質と、洗練された文化人としての性質を矛盾することなしに備えていた君主であったらしい。
今日残る肖像画には、青白い顔色、爬虫類のようにつめたい眼差し、捻じ曲がった鼻筋の異様な形の鷲鼻、目を熊ドル青黒い隅。書類を握り締めた異様に長く細い指が目立つ。
見るものに冷たい病的な印象を与えるが、印象以上に、この人は病んでいた。
政治家としては有能であったという。メディチ家との友誼は有名であるし、母の反対をおしきってサヴォア家の王女を公妃にむかえた。
ただ、公自身の肉欲や残忍な衝動をコントロールすることは、誰にも公自身にもできなかったのである。
公に潜んでいる妄執のひとつに強姦願望があった。実際、家臣の令嬢や夫人を思い通りにあつかった例は多い。しかも、夫や家族に事が知られるようしむけたという。
ある日、占星術師の占いの結果が気に入らなかった公は、占星術師を地下牢に閉じ込め、パン一切れ、鳥の手羽、一杯の葡萄酒を与えたまま放置した。当然の結果、占星術師は餓死した。ちなみに占星術師の予言は、公の治世は10年で終えるといったものであった。
・拷問で死なせた死体と一緒に過ごしたこともある。
・寵愛する愛人に親しく口を聞いたという理由で、手足を切断された家臣もいた。
・禁を破ってウサギを捕まえた猟師に、罰としてウサギを生きたまま丸ごと食べさせたこともある。まだ暖かい毛皮も動いている筋肉臓器も骨もたべざるをえなかった気の毒な猟師は、苦痛のなかで亡くなった。
こういう事象が延々続くのである。
ただ、公だけが残忍だったわけでなく、この時代の王侯貴族の残忍さは、想像を絶するのである。時代が新しくなったフランスのヴァロア王朝の時代でも、拷問や処刑は娯楽であった。眺めながら楽しく食事をする人もいたのである。しかし、やはり、異常さが突出しているのである。
「わたしは恐れをしらなかった男の娘です」
と、公の娘のカテリーナ・スフォルツアは豪語した。
が、この人は、他人の苦痛を恐れなかったが、自分の体が精神が、退屈や苦痛にさらされるのは恐れていた。
そして、矛盾しているようだが、非常に神に対して敬虔であったらしい。
自らの暴力に対する贖いを請う、というものでなく、欲望や欲望、信仰は信仰とわけて考えていたらしい。
洗練された文化人で、治世の間に数多くのページェントを企画し、騎馬槍試合を行った。とくに教会音楽に造詣がふかかったという。
このひとのことを、ありとあらゆる才能の怪物だと、某貴族は称したのだった。
こうした矛盾した公の気質は、結婚によって流入したヴィスコンティーの血統からきたのかもしれない。スフォルツア家の前にミラーノを支配していたこの一族もまた、マムシのような肉欲をもつ人々だった。
暴力的になるという点ではストロモニウムのほかに、センチュリーズというレメデイーがある。これはマムシからつくったレメデイーである。
これも、暴力と、性的な事象をともなう他者を破壊する人のレメデイーである。親の夜の生活を目撃してしまった子供に飲ませるレメデイーでもある。そして、スフォルツア家の紋章には蛇をつかわれている。
公の暴力には、ストロモニウムの基調とは関係ないが、教会音楽が介在しているかもしれない。
ジル・ド・レエ
フランスの中世において、フランスの救世主といわれたジャンヌ・ダルクとともに戦った侯爵がいた。
ジル・ド・レエという。童話青髭のモデルになった人だ。
ジャンヌがイギリス軍に捕らえられて異端審判にかけられ有罪となり火刑に処せられた後、ジルは領地に隠遁した。
莫大な財産を相続しフランス随一の富裕の身であったジルは、800人になんなんとする男児を、己の快楽のために陵辱、拷問の果てに虐殺したのだった。このジル・ド・レエもまた、教会音楽にはまっていた。
歌隊のボーイソプラノを好み、美声の少年を集めていたが、いつのころから黒ミサに凝りだし、少年を虐殺しては悪魔に捧げていたという。
一方で、ジルは教会では敬虔な祈りと悔恨を捧げ、陽光あるれる教会と血まみれの拷問室を器用に交互に行き来していた人であったのだ。ジルの快楽が大きいほど罪科も大きく、罪科が大きければ悔恨もまた大きく、悔恨が大きければ、ジルを許す神の恩寵もまた大きいのであった。
神への敬虔さと悪魔的な衝動が、この人の中で、ごちゃごちゃになっていた。
ジルの暴力的猟奇的な衝動は、少年の歌う歌に触発されていたのでなないかと言われているが、実際はどうだったのだろうか。
あまりに被害者の数が多くなり、看過できなくなっジルの恐ろしい罪が明らかになって告訴され、火刑をいいわたされた。
裁判では、自らの罪を認め悔恨をしめし、その姿は聖人のようだったという。
ある種のひとびとにとって、教会音楽は色情的な恍惚感を誘発するという。
マリーア・ガレアッツオ・スフォルツアも教会音楽が、残忍さの引き金になったのだろうか。
公の治世は10年をもって終わった。
恨みを織った家臣によって短剣で胸を刺され暗殺されたのだ。
公のためにも、誰のためにもよかったと思う。
【おすすめの処方】
朝 Medメドライナム 200c
残忍さ、暴力的、
昼 Cenchセンチュリーズ 200c
強姦願望、血の浄化、
夜 Stromストロモニウム 1M
恐怖、暴力、
週に一度 Syphスフィライナム
梅毒マヤズム 猟奇性・暴力